SOB奇談 其の1 [SOBラヂオドラマ等]
連続ラヂオドラマ第1回
ディープサウス、昔そこは黒人の血と汗の染み込んだ土地
砂埃の舞う土の道、街灯もない真暗な道を行くとそのジュークジョイントはあった
扉を開けると、一斉に黄ばんだ多くの目が僕を見た
東洋人など滅多に訪れない店だ
すぐに僕への興味を失い、皆の目はステージに戻る
ステージには ivann&tecchin
インドネシア訛りと河内三河訛りの英語でブルースをやっていた
SOBなんて誰も知らなかった頃の話
SOB奇談 其の3 [SOBラヂオドラマ等]
連続ラジオドラマ第3回
血だらけのイヴァンからポールに視線を移した
彼は両手を広げて肩を持ち上げる素振りをした
「何で僕を呼んだんだい」
まったく何で僕がここに居なくちゃいけないんだい
トラブルはごめんだ、ビザの滞在期限はとうに過ぎているんだから
「同じアジア人だ」 ポールは言った
同じアジア人と言ったって、カナダとブラジルぐらい離れてるよ
何度彼に言っても答えは同じ
「同じアジア人だ」

SOB奇談 其の5 [SOBラヂオドラマ等]
連続ラヂオドラマ第5回
使い終わったコンドームの様な格好をしたマンハッタン
ハウストンストリートから北は東西に走る道を1st ストリートから順番に番号が増えていく。
日本では丁目と呼ぶ。
南北に走る道がアヴェニュウ。これは1番街、2番街などという。
5番街は日本でも有名だろう。
5番街の東57丁目、ティファニーがあるところだ
下の膨らんだ辺りからは、道も順番どうりではなくなる
アヴェニュウA,B,Cは東に膨らんだところ
NYに永く住んでいても、行った事が無い人間がほとんどだろう
ポールの店を出ると1stアヴェニュウを渡り、10丁目を東に行く
「僕はpaceだ、君は」
「日本語の名前無いのかよ」
「tecchinだ」
「アメリカ人には発音しにくい名前だね」

「いちいち煩い野郎だなtecchinはtecchinだよ」
どうやらだいぶ嫌われたようだね
まったく、なんでこんな明け方こんな事をしてるんだろう
SOB奇談 其の6 [SOBラヂオドラマ等]
連続ラヂオドラマ 第6回
バワリーストリートが回り込んでモットストリートと交差する所でタクシーを降りた
イヴァンには、ポールの店にあったトラウザースとジャケットを着せてある
さすがに、この場に及んではイヴァンも素直に従った

朝早く、外気温の低い時は、歩道の排水溝の間から盛大に湯気が上がっている。寒いのは苦手だが、この光景はNYの冬の風景、気に入っている。
SOB奇談 其の7 [SOBラヂオドラマ等]
連続ラヂオドラマ第7回
教授は店の入り口を見て
「ちょっと待ってて」と言って席を立った
20程の大小のテーブル席があり、入り口に7メートルぐらいのカウンターがある。普段はカウンターでも食事をしたり、コーヒーを飲んだり出来るが
週末は飲茶をテークアウトする人々でごった返している。
そこに、制服の警官がいた
SOB奇談 其の8 [SOBラヂオドラマ等]
連続ラジオドラマ第8回
「pace,pace 」
イヴァンが肩をゆすって僕を起こしている
「アトランティックシティーに着くぜ」
僕はバスの前の方へ行って、運転手にカジノに行く前にバスステーションで下ろしてくれるように頼んだ

広いステーションだが今は人が居なくがらんとしている
バスはカジノへ横付けされる
バスステーションで降りる人間は居ない
こんな朝にここに居るのは、食い詰めた宿無しか負けて帰る文無しだけだ
何に負けたのかは・・・・・人それぞれだが
SOB奇談 其の9 [SOBラヂオドラマ等]
連続ラヂオドラマ第9回
NYにもどった僕の生活はいつもどうりの平凡な生活に戻った
猫のジャニスはまだ部屋に居て、くしゃみは止まらないが
大嫌いなクリスマスとニュウイヤーはチャイナタウンで過ごした
旧正月で新年を祝う中国人には新年もただの休日だから
2月になって後期の授業料を払いに久しぶりに学校へ行く
いちお、僕も学生をしているんだ
ミッドタウンのアートスクールに籍をおいている
観光ビザから留学ビザへの書き換えはやっては居ないが

SOB奇談 其の10 [SOBラヂオドラマ等]
連続ラヂオドラマ第10回
社長は続けた
「金曜日に移民局のガサ入れがある」
要は、移民局の査察があり不法労働者の検挙である
レストランには年に1-2回あるが
リムジン会社(ハイヤー会社みたいなもんだ)じゃ珍しい
弁護士なんかと縁が無い人間ばかりだ
1日ブタ箱に入って、翌日の飛行機で帰国になる
もちろん飛行機代は自前だ
あとで飛行機会社から請求書が届く
それも、乗ったことが無いような金額の正規運賃で
SOB奇談 其の11 [SOBラヂオドラマ等]
連続ラヂオドラマ第11回
部屋に入った僕は、クローゼットの中、ベッドの下を覗いた
まだ賊が室内にいて、殺されるのは、よくある話だ
誰もいないのを確認して、ルーシーを呼んだ
「あんまり変わってないじゃない」
開口一番のルーシーの言葉だ
僕の部屋はステゥーディオと言ってワンルームの部屋だ
もともと家具らしいものと言えば、ベッドとイス、テーブルぐらい
クローゼットと冷蔵庫は備え付けだし
電化製品はラジカセがあっただけの部屋だが
ラジカセは床の上で踏み潰され、ベッドはスプリングが出ていた

SOB奇談 其の12 [SOBラヂオドラマ等]
「pace ルーシーから電話だ」
カウンターの中からポールが言った・・・・・・前回からのつづき
連続ラジオドラマ第12回
ポールは、コードを引きずりながら電話機を、僕の手元まで持ってきた
「僕だよ。良くここが分かったね」
「他に行く所ある?」
そのとうりだ、だけど殴られた事までは知らないだろう
「pace の部屋の事、教授に話しておいたの、そうしたら直ぐに来れるかって、今電話があったわ、つかまったらと言っておいたけどどうする?」
「OK行くよ。教授の店で良いのかい」
「イーストのアッパーみたい、もう1度電話する」
ルーシーからの電話は切れた
















